株式会社「絵本ナビ」金柿秀幸さん、絵本のお話会

interview
file No.2 素敵なパパfile×株式会社「絵本ナビ」代表 金柿 秀幸さん

「素敵パパファイル」では、自分流子育てを実践されている素敵パパに、子育てにかかわることでみつけた「父親であることの楽しさ」について伺いながら、ママにも役立つ子育てを楽しむヒントをみつけていきます。

第2回目は、株式会社「絵本ナビ」代表 金柿秀幸さんに、仕事と家庭両方で得た「自分が望む幸せ」について、お話を伺いました。

僕たちの姿をみて「大人も楽しそう」って感じてほしい

mama's style:
父親セレクトの絵本の「お話会」を全国各地で開催している「パパ's 絵本プロジェクト」に携われているそうですね。プロジェクトが目指すところを教えていただけますか?

金柿さん:
パパ’S絵本プロジェクトが行ってるお話会の醍醐味は、絵本を通して子どもたちとコミュニケーションがとれるということ。僕らのお話会では、お話しの中身よりも、子どもたちと楽しい時間を過ごすことが大切だと思っています。何より僕らが楽しんで、子どもたちも楽しんで、それがすごく気持ちいい。気づくとはじめてから4年間が経っていて、100回以上、3000人以上の子どもたちと触れ合ってきたことになります。もちろんこれからだって、全国どこへでも行きますよ。そこに、子どもたちと温泉とビールがあればね(笑)

僕らは、僕らを見た子どもたちが「おじさんたちなんか楽しそう」と感じてくれればいいと思っています。大人って、毎日満員電車に揺られて会社に行って、残業して、ストレスもあっていろいろ大変でしょ。家に帰ってくれば、「疲れた」って会社の愚痴も一緒に吐き出して…子どもたちからみれば、全然楽しそうじゃない。こんな姿を見てたら、絶対大人になりたくなんかないって思うわけですよ。だから、子どもに「大人も楽しいぜ」って伝えたいんです。
お話会に参加したお父さん・お母さんから、「やっている人たちが一番楽しそうね」って感想が聞けると「やったね」とガッツポーズですよ。子どもたちもきっと同じように感じてくれているでしょうし。

「絵本を読むならパパ」と家の中での絶対的地位をみつけたんです

娘さんにも、たくさん絵本を読まれているのですか。

現在は、娘は小学1年生になっているので、お話を聞くというより自分で読むほうが多くなりました。それでもお互い絵本が好きだから、一緒に本屋に行って一緒に選んで、読んだ本の感想を言い合いっこしてます。これもまた楽しいですよ。

実は、絵本は、娘が生後2ヵ月から読み聞かせしていたんです。ある意味すごいでしょ。
妊娠・出産をきっかけに、会社を辞め、事業を立ち上げるまでの半年間、せっかくだから子育てに関わりたいって考えていたのですが、実際赤ちゃんに接すると「何をやればいいんだ」って構えちゃったんですね。最初は「パパでちゅよー」って語りかけをやってみたんですが、すぐネタ切れ。じゃあとりあえず、絵本でも読んでみようかって。それが娘と僕との絵本への世界のはじまりです。

たしかに、生後数ヵ月間はお話の内容なんて分からないと思います。でも「いつもお世話してくれている人がなんか楽しそうに話しかけてる」ことは、きっと伝わっていたはずですよ。僕は僕で絵本を読んでいるときの娘の反応を観察しながら、「あ、今笑った」って、瞬間、瞬間を楽しめたから、ずっと続けてきたんですね。これって、コミュニケーションでしょ。(笑)
もちろん、絵本を読むのはパパの仕事になりました。

家事・育児におけるパパの役割についてお話いただけますか。

自分だけの役割があると男は嬉しいんですよ。僕の場合、「絵本を読むなら僕」と、家の中での絶対的地位をみつけました。だって、オムツ替えもミルクもどれだけ担当をかわってもらってもママにはかないわけでしょ。だから、ママたちも意識的に「これはパパが一番ね。これはパパでなきゃ」というものをつくってあげるといいと思います。男は単純なので、喜んでやっちゃうんです。

「自分の望む幸せ」が何なのか?一度立ち止まって考えてほしい

以前会社にお勤めだったそうですが、お子さんの誕生をきっかけに会社を立ち上げられたとお聞きしました。その理由をお聞かせいただけますか。

もともと学生時代からベンチャーをやりたい気持ちはありましたが、勤めていた会社でも仕事は順調で、いわゆる出世コースを突っ走っていたわけです。(笑)
だから、会社の先輩が「ここ何日家に帰っていない」だとか「昨日、子どもに『今度いつ来るの』って言われたんだ」と自慢気に話しているのを見て、『これってなんかおかしくないか』と感じつつも、僕も先輩たちのように大切なものを少しずつ切り捨てながら生きていくのだろうと思っていたわけです。

ところが、妻の妊娠の知らせを聞いたとき、喜びの感情とともに、5年後、10年後の自分の姿が浮かんできたんです。
会社から帰ってきてもだれも「お帰り」っていってくれない。
「お父さん帰ってきたぞ」と僕
「あっそう」と冷たい娘と妻
「なんだそれは。誰のおかげで食えていると思っているんだ」と暴れる僕。(笑)
郊外に素敵な一戸建てを買って、長距離通勤して、家族のために一生懸命やっているはずなのに、みんなの気持ちはばらばらっていう姿が哀しいくらい浮かんでくる。これって絶対、自分が望む幸せじゃないと強く思いました。子どもが産まれることをきっかけに、「何のための人生か」「なんのために仕事か」を考え直したんです。

独立して、ちゃんと家族を支えられる会社経営をしていく。これって想像しているより、実はハードルが高くて危険な賭けでもあったわけですが、「自分の可能性を試す」「自分のビジョンを形にしていける」価値ある挑戦だとも思いました。それが大切な家族と一緒に楽しく暮らすためでもあるなら、それこそが「自分の幸せ」だと確信したわけです。

家族が大切、でも家庭を犠牲にして仕事をやり、それに矛盾を感じている人は、いったん立ち止まって、「どんな状態が自分にとっての幸せなのか」「そこに向かうためにはどうしたらいいのか」考えてほしいなと思っています。

「言われたことをやって欲しい」わけではなく、主体的な家庭のマネージメントを望んでいたことに気がつきました

家庭において金柿さんが奥様に気遣われていることを教えてください。

妻は、子どもが生まれてからは専業主婦で、しっかり家を守ってくれています。
だけど、家庭のマネージメントは僕の役目ですよ。妻がすべての指示を行って夫がいわれるがまま動く構図はよくあるようですが、そうなると妻がすべての責任を負うことになってしまう。「最終的には責任は僕が取るし、一緒に考える、だから安心して君はやってくれ」と言えるようになったのは、実はここ半年そこらのことですが…。(笑)

お父さんってみんなそうだと思うのですが、僕も「何で言う通りやっているのに、妻は満足してくれないのだろう」ってずっと感じていたんです。ところが妻は「言われたことをやって欲しい」わけではなく、主体的な家庭のマネージメントを望んでいたわけで、「娘のお受験」というハードルも越えながら、最近ようやくそれに気づきました。(笑)

「家のことをいつも気にしているよ」と、メッセージを常に送ること

「マネージメントはパパ」、具体的にどうすればいいのでしょうか。

中長期的な家庭のビジョンを示して舵取りしていくのはもちろん、「家のことをいつも気にしているよ」とのメッセージを常に送ることです。
それまで僕は、「やることがあったら言ってくれ」との言葉だけで終わっていたんですね。しかしそれではだめ。例えば、簡単なことですが、ゴミの日を調べて自分で出す。子どもの遠足の前日には体調を気にして早く寝かす。妻に週末の予定を聞きながら、何をしようかプランをたててみる…。
家のこと、家族のことをいつも意識しているだけでも状況は変わってくると思います。意識していれば主体的に動ける。それは、僕自身一緒に家庭を作っているという実感を高めることにもなったのです。

娘さんとはどのようなコミュニケーションをとっていますか。

毎朝、隣駅の学校まで一緒に行っています。土曜日は、バレエ教室の帰りに、お茶して本屋で買い物に行ってと、娘とのデートの日になっています。それと、交換日記かな。鍵のかかる日記帳を使っているのですが、ちょっと新鮮でいいですよ。会って話す時間もたくさんあるのですが、悩み事やちょっとした日常は文字にすると、自分とも相手とも密に向き合えるような気がします。日記ならではのコミュニケーションですよね。

今は、絵本という共通の話題を通して会話が弾んで楽しいですよ。やはりこれは、絵本という世界観を生後2ヶ月から6年間積み重ねてきたからこそあるものだと思っています。娘ですからいずれ時期がきたら少しずつ僕から離れていくんだろうけど、その時期が来るまで、絵本に限らず共有できる経験をどんどん積み上げていきたいと思いますね。それがあれば、きっと大人になって結婚しても、積み重ねてきた沢山の体験の中から話ができるのではないかなと思っています。

余力があると、奥さんに「些細な何かをしてあげたい」気持ちがきっと芽生えてくるはず

家族との関係で金柿さんが大切にしているキーワードを教えていただけますか。

とにかく「対話」だと思います。奥さんとも子どもとも、まずはちゃんと向き合って話しを聞くことからはじめること。でも、終電間際まで仕事して疲れ果てて家に帰ると、それができなくなりますよね。

でも、それは仕事ですべて使い果たしてしまうからいけないんだと思います。今まで12時に帰宅していた人は、11時に家へ帰ることを心がけてみてください。

そうすると1時間分は余力ができるわけで、余力があると、相手への気持ちの余裕も生まれてきます。きっと、会話だけでなく、奥さんのために「些細な何かをしてあげたい」気持ちも芽生えてくるはずだから…。

子どもに対しては、かまってほしいときに充分応えてあげないと、「パパは忙しい人だから話しかけちゃだめな人」として認識されていきます。そうなると、いざコミュニケーションをとろうとしたときに、ギクシャクして上手くいかなくなると思います。たしかに、仕事をしていると忙しい時はありますが、主体的にコントロールして自分自身の余力を作っていくことは必要だと思いますね。

僕がいるIT業界は、夜は無限に働くことが常識になっています。でも、これってとっても仕事の効率・能率が悪いことなのです。うちの会社のママさんは保育園のお迎えがあるから、一日の仕事の段取りを考えて、やるべきこと、今やらなくてもいいことを種別して、効率が上がる仕事のやり方を考えて業務をこなしていますよ。仕事のやり方としては、理想的ですよね。しかも、早く帰れることで余力を持って家に帰れるわけです。

子育てにしても、仕事にしても、自分で「何が重要なのか」、「今なにが問題なのか」に気づかない限りものごとは変わっていかないと思います。まずは自分自身が問題意識を持って、悩んで、立ち止まって「自分にとっての幸せ」をみつけて欲しい。自分で悩んで気づいて得た「幸せ」はずっと続いていくものだと思うから…。
仕事でも「もうだめ」と思う瞬間はたくさんあります。でも「本当にだめなこと」は実は1つもないんですよ。解決の糸口はいろんなところに転がっている、自分がそれを求めるかどうかなのです。あきらめないで探していって欲しいですね。子育ても仕事もそして家庭も…。

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絵本クラブ

絵本ナビの絵本クラブは、「幸せな時間」をコンセプトにした絵本の定期配本サービス。

ロングセラーの名作絵本を中心に、読書が楽しくなるユーモア作品も盛り込み、ご家庭でそろえておきたい良書をバランスよくセレクトしています。子どもの月齢にあわせた絵本を厳選し、家庭やオフィスに毎月届けるサービスを行っており、パパは絵本をカバンに入れて、絵本を楽しみにしている子どもたちのもとに帰るだけ。

Fathering Japan

パパ's 絵本プロジェクト「お話会」の様子

【URL】
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