
「素敵なママfile」では、さまざまな分野で活躍されている女性に、子育て、仕事との両立、プライベートな時間についてのお話を伺いながら、いつまでも素敵なママそして女性でいられるためのヒントをみつけていきます。
ママやプレママさんに優しい子連れOKのサロン「ドナーツォ」を主宰されている大房さんは、ご自身も子育て真っ最中のシングルママ。キッズスペースが用意された、暖かい日の光がふりそそぐ静かなサロンで、現在3歳8ヵ月になるお嬢さんの花音(かのん)ちゃんとの生活についてお話をうかがいました。
mama's style:
大房さんのサロン「ドナーツォ」は、子連れのお客様大歓迎だそうですね。そういうサロンを開こうと思ったきっかけは何ですか?
大房さん:
うちは娘と私だけの家族なので、産後の数ヶ月間は母子ふたりきりで家にこもっての生活が続きました。誰も頼る人もなく、密室育児になってしまっていたのです。
そのとき、もしママたちが外に出て世間話ができ、かつ体が癒される場所があれば、きっともっと子育てに対して前向きになれると思ったという経験がまず一点です。
また、私はもともとマッサージを受けるのが好きで、いろいろサロンめぐりをしていたのですが、出産後の疲れきってしまった時期にサロンを訪れたとき、心と体の面でとても癒され、また外に出て行こうという気持ちになれたのです。
そのとき、サロンは心と体の両面で、ママたちにとって必要な存在のうちのひとつなのだと思いました。ところが現実としては、妊婦さんや産婦さんはサロンで門前払いということもよくあります。
本当に必要としている人たちがいるのに受け入れ先がないという現状に対して、ないものはできるのを待つより自分で作ったほうが早いと思ったのです。
確かに、エステに行きたいけど行けないというママやプレママはたくさんいらっしゃると思います。
いままで、お客様の中で印象的だったママはいらっしゃいますか?
オープンしたてのあるとき、定休日だけれどどうしてもその日に施術を受けたいというお客様からお申し込みをいただいたことがあります。
それでご希望の日にサロンにいらしていただいたのですが、一見明るい感じで何不自由なく暮らしていそうな方でした。ところが後日そのお客様のブログを読んで、実はその方は私に離婚の相談をするつもりでいらしていたことがわかったのです。
離婚後の生活についてお聞きになりたかったそうなのですが、たまたまその日はとても暖かくて穏やかなお天気の日で、施術を受けてお茶を飲んでいるとき、そこまで深刻に考えなくてもいいのではという気分になられたそうです。そして、もう1回主人と話し合って前向きに考えてみることにしますと書いてあったのです。
その方は、サロンでは自分の私的な話はほとんどされませんでした。おそらく何でもない話をするだけで気持ちが癒されたのでしょうね。
出産前後でライフスタイルはどのように変わりましたか?
出産前は本当に夜型の生活で、夜の12時ごろから飲みに行くようなこともありました(笑)。お酒そのものというより、にぎやかな雰囲気が好きだったのです。そのときは、自分は一生こういう生活を送るのだろうと漠然と思っていました(笑)。
その一方で、もともと私は34歳で子供を生むということに決めていて、実際に34歳で出産しました。
現在3歳8ヵ月になる娘の花音が生まれたとき、小さいながら足の裏にちゃんと土踏まずがあることや、小さな爪の形ひとつをとってみても自分と似ていることを発見したとき、人間ってすごい!と感動しました。
赤ちゃんが大きくなっていくのって、小さな芽が出てだんだん大きな木に育っていくのに似ていますね。
いままでは自分の欲求のためにすべてをつぎ込むという生活だったのですが、子供が生まれてからは、自分の持っているものはなにもかも子供のために使うということが当たり前にできるようになったのがいまでも不思議ですね。
そして、子供を生んで初めて「無償の愛」という言葉の意味を知りました。男性に対するものとはまた全然違うのですね(笑)。子供に対してはなにも見返りを求めませんが、こちらが得るものは限りありません。
花音ちゃんに対してはどんなママなんですか?
娘と私のふたりだけの生活ということもあり、娘を一般的な意味での「子供」と思うときは、正直あまりないのです。子供というより相方、「血がつながっているパートナー」として接しています。
子育てに際しても、「親の言うことは聞きなさい」という上からの目線ではなく、どうしていけないのかを教えていってあげたいと思っています。女同士ということもあり、これからずっといっしょにいることを考えると、あまり上からの目線ではいたくないという気持ちがあります。娘も「ママ、車が通るからよけて」など、母親はどっちなのかしらと思うくらい、しっかりした子です(笑)
先日、丹沢へふたりで山登りに行ったんです。初めてふたりで遠出したのですが、とても楽しかったですよ。大人でもけっこうきつい山道だったのですが、文句ひとつなくのぼっていたのが印象的でした。我慢強い性格なのでしょうね。
毎日の暮らしの中では、娘の髪を直してあげたりするとき、小さな喜びを覚えます。それから、サロンへ連れてきたときに私がお客様にして差し上げているのを見て覚えたらしく、うちで私の脚をマッサージしてくれることがあるんです。そんな姿は本当にかわいいですね(笑)。
今度、親子で和太鼓を習いに行くことにしたんです。ストレス発散などメンタル面にもプラスだそうなので、ふたりともとても楽しみにしています。
花音ちゃんはとっても明るくて元気いっぱいで、本当にかわいいですね(笑)。子育てではどんなことを大事にされていますか?
娘には常々、怒るのには理由があると言い聞かせています。叱るときはなるべく短く、根気強く言って聞かせるようにしています。そして必ず最後に、怒ったほうも怒られたほうもお互いにあやまって仲直りをするのです。
それから、ママが鬼にならなければならないときは、「鬼さんからメールが来たから」と言っています(笑)。「鬼さんが用事で来られなくなっちゃったから、ちょっとの間ママが代わりに鬼になるように頼まれたの」と言って、悪役を他に立てるのです。
叱るときはなるべく真剣モードにならないようにしています。母と娘のふたりだけですから、ママが鬼そのものと思われてしまうと、娘は逃げ場がなくなってしまいます。ほかに悪役がいれば、ママは心のよりどころでいられますから。
ちなみに、「ママはカミナリさんともお友達で、電話番号だって知っているのよ」とも言っています。まだ3歳ですから、携帯電話を取り出してちょっとかけるふりをしただけで、カミナリさんに電話しようとしているのだと信じてしまいますね(笑)。
あと、うちは夜寝る前に反省会をするんですよ。今日、ほめられてうれしかったこと、今日怒られてしまったことを思い出させ、最後には必ず楽しかったことやうれしかったことを思い出してから、眠りにつくようにさせています。
娘は、他人を受け入れられる人になってほしい。そして自分で決められる子、困っている人に手を差し伸べられる子、そしていたずらしてもどこか憎めなくって、放っておけないな、と人に気にかけてもらえるような、一言で言えば「愛される子」になってほしいと思っています。
本当に姉妹のように仲がよいのですね。でも、たまにはひとりになってストレス発散したいと思うことなどはないのですか?
そうですね。そう思うときもないことはありませんが、ひとりでどこかへ行ったとしても、やっぱり娘を連れてくればよかったと思ってしまうだろうと思うのです。
私はもともと喉元過ぎれば熱さを忘れてしまうタイプで、いやなことがあってもすぐ忘れてしまう(笑)。だからストレスがあまりたまらないんです。
私のリラックス法は、映画を観たり、子供が寝たあとおいしい紅茶を飲んだりすることですね。あと、せっけんや美容液を手作りするのも大好きです。
本当にいつもポジティブでいらっしゃるんですね。大房さんとお話しているとどんな局面でも乗り越えられそうな柔らかな強さを感じます。とりわけ、大房さんのブログにあった「逆境フェチ」という言葉が印象的でした。
友人によく言われます(笑)。若いときからなのですが、逆境を乗り越えたときの達成感が好きなんです。
東京の大学を志望したとき、厳格な父に反対され、「大学には1年間鈍行で通いなさい、それでくじけるようなら辞めてしまいなさい」と言われたことがあります。それで絶対に負けたくないと思い、鈍行で通い続けたという思い出もあります。逆境は楽しいですよ、考え方次第では(笑)。
私は猪突猛進型なので、逆境があるとかえって燃えるのです。20代のときに、現地の小学校でボランティアの日本語教師として働くために1年間オーストラリアへ行くことを決めたときも、みんなに様々な理由で反対されましたが、何とかなるという根拠のない自信があって、そして実際何とかなりました(笑)。
外見からは想像もつかないくらいたくましいんですね(笑)。そのパワフルさで10年後にはどんな自分になっていたいですか?
子供を預けておける間は仕事に専念したいと思っていますが、私は「40歳を過ぎたら恋愛をしよう」という楽しみをもっているんです(笑)。結婚するとしても、結婚によって私の夫、娘に父親を作るというよりも、3人でひとつの「家族」になることができて、いっしょに楽しく暮らせるような相手がいいですね。
10年後も、「楽しいな」と思える生活を送っていて、そして自分を好きでいられたらいいなと思います。そして、授業参観日には絶対に来て!と言われるような、娘が自慢に思えるようなママでいたいです。
私のモットーは「楽しく、ハッピー」ということ。くよくよ悩まず、つらいことは忘れます。
私には昔から、「こうなりたい!とイメージしていることは、必ずその通りになる」という信念があるのです。信じ続けていれば、夢はきっと実現する。無意識のうちにイメージが現実になるように努力しているのかもしれませんが、夢が叶ったとき、イメージどおりになったからまたやってみよう!と思えるんですよ。
最後に、がんばるママたちへメッセージをお願いします。
妻でいること、ママでいることに頑張りすぎず、ぜひ出産を機に甘え上手になってくださいね! おなかの中で生命を育みこの世に送り出すという偉業を成し遂げたママはそれだけで偉大です。
「きっと大丈夫!」を心の合言葉にして日常の変化を楽しんでくださいね。「自分を大好き」でいることも楽でいられる秘訣かもしれません。
それでもちょっと疲れてしまったときは……悲しい映画でも観てたくさん泣いてデトックスです!
体の中のネガティブをぜ~んぶ出してすっきりして、またパワーチャージしましょう。
わたしはこれで子育てを乗り切っています(笑)。
優しく柔らかい雰囲気なのに、驚くほどのタフさを持っている大房さん。その二面性がとても魅力的でした。
サロンの名前「ドナーツォ」とは、エスペラント語で「贈り物」という意味だそう。大房さんにとっては、娘の花音ちゃんがいちばんの贈り物ですね。
ドナーツォ(東京:乃木坂)
プレママや子育て奮闘中のママが安心してゆったりとくつろげる癒し空間とトリートメントを提供。
完全予約制で子供用のプレイスペースもあり、ママの施術中はスタッフが世話してくれるので、2ヵ月程度のベビーもいっしょに来店できます。
目指せ!おしゃれマタニティ

