「REAL SIMPLE」名倉詩子さん、父親の育児参加のために

file No.3 素敵なママfile×REAL SIMPLEプロデューサー 名倉詩子さん

「素敵なママfile」では、さまざまな分野で活躍されている女性に、子育て、仕事との両立、プライベートな時間についてのお話を伺いながら、いつまでも素敵なママそして女性でいられるためのヒントをみつけていきます。

今回は、NY生まれのライフスタイル誌『REAL SIMPLE 』の日本語版のプロデュー サーを務める名倉詩子さんにお話をうかがいました。ミス・インターナショナル 日本代表選出大会のファイナリストという経歴を持ち、11歳、7歳、2歳の3人の お子さんのママでありつつ、ひとりの女性として輝きつづける秘密は?

mama's style:
商社でのお仕事を続けながらのご出産だったそうですね。何かと大変だったと思いますが…。

名倉さん:
そうですね。妊娠すると、仕事でも何でもどうにもならないことだらけなのです。いろいろ辛い思いをしていたと思うのですが、不思議なことに辛かった記憶というのはほとんどなくて、いろいろな人に助けられてありがたかった記憶しかないです。

なかでもいちばん感謝しなければならないのは、家族はもちろんですが、親、友人、そして会社や同僚ですね。自分ではかたひじ張っていたつもりはないですが、入社当時は総合職女性が3人だったうちの1人でしたし、本人は意識していなくてもそう見られていたこともあったと思います。結婚と出産を経験して、自分ひとりで仕事をしているわけではないこと、周囲の人に助けられていることを深く実感し、気がつくことができたのは本当によかったと思います。周りの方には本当に感謝ばかりですね。1人目のときはもちろん、2人目のときも3人目のときもそれは同じです。

子供が家庭を温めてくれる

母親になってから自分が変わったと思うところはありますか?

子供がいない時期は、仕事でも家のことでも誰かと分け合うのが苦手で、なんでも自分で抱え込むほうでした。結果的に仲間をつくったり世界を広げたりするのが下手だったのだと思います。ですから友達関係もかなり閉鎖的で、世界が狭かったですね。商社の仕事というと、いろんな人に会えて、いろんな経験ができて、外からは華やかで楽しそうに見えるかもしれませんが、実は狭い世界での寂しい毎日だったような気がします。

よく、ひとりの時間が自分を磨くなんていいますが、私はひとりでいられないタイプ。常に寂しがり屋でしたが、ママになってからは寂しがっているヒマがないですね。よく「温かい家庭を築く」といいますが、いまの温かい家庭を自分で築いたのではなく、子供が家庭を温めてくれているという感じなのです。

男性に対して優しくなった?!

実は、男の子のママになってから、男性に対して寛容になりましたね(笑)。子供時代、学校では男女平等でも、家庭内は普通に男性のほうが上(ママがパパをたてる)という家庭環境で育ちましたから、男性は立派で完璧であってほしいと思うがゆえに、逆に男性に対してとても厳しい部分がありました。でもいまは仕事でちょっと…という男性に会っても、「この人も昔はかわいい男の子で、きっとお母さんにかわいがられていたのだろうな」と思えば、許せるようになりました(笑)。

それから、大変なとき支えになってくれるのはやはり親です。昔は親と衝突したこともあったのですが、自分が親になって初めて、親にとって子供がどれだけかわいいものかわかるようになりました。「あの時あんなふうに言ったのは、こういう気持ちからだったからなのだ」ということがわかるようになったのです。

本当にだめなことはふたつだけ

お子さんに対してはどんなママですか?

特に娘に対しては厳しいです(笑)。女の子は将来的に、自分のことに加えてだんな様の面倒も見なければならない立場になるわけですから。

でも私が叱るだけではだめ。パパがフォローしてくれることで娘の自立心が芽生えましたね。パパは本当に気配り上手な人で、うまくフォロー役になってくれるのです。近所のママ友達の力もたくさん借りています。なにかと電話をしてきてくれたり、外出に誘ってくれたり。親が良いから良い子に育つのではなくて、地域の人たちのとの関わりの中で、たくさんの人にかわいがられて育つから良い子になるのだと実感しています。 叱るときは、感情的に怒るのではなく本当にだめなことだけを叱ります。本当にだめなことというのはふたつだけ。命に関わるようなことと、間違ったことを明らかにしないことです。間違ったことをしたり、嘘をついてしまったりというのは誰でもあると思うのです。それを告白するというのはとても辛いこと。でもそれを克服できないと、ウソを隠すためのウソの上塗りが続き、その後の生き方がどんどん誤った方向に行ってしまいます。 子供たちには、自分で生きていく力を身につけてほしいと思っています。自分で考えて仲間を作ったり、判断したり。なんとなく息をしているのではなく、「生きていく」ということを意識して生きてほしいのです。

まずはパパのことをわかってあげましょう

パパとママで役割分担が自然にできているんですね。よく「夫がなかなか育児に参加してくれない」という声を聞くのですが…。

参加というより、うちは育児も夫が主体的にやってくれています(笑)。保育園からの連絡もパパ宛てに届くくらい(笑)。ただそうは言っても、ママが家の中のことをやり、パパが外に出て働くというのが私たちの基本の家族のイメージだし、良妻賢母というか、大和撫子というか、子供にもそういった古きよき日本的発想というのを持ってほしいと思っています。うちの場合は、本来はパパが「外」なのに「中」のこともやってくれている。だから「パパ、ありがとう」という言葉が自然に出てくるのです。私は何でも自分でやりたいほうで、昔は「なんでやるの!」と逆にケンカになったりもしたのですが、それは今の私には無理なので、あきらめて素直に感謝の気持ちを表すようにしています(笑)。

そんなパパばかりだといいんですが、なかなか動いてくれないパパを動かす秘訣は?

子育ても家庭も仕事も、お互いにわかりあうということが重要だと思います。それさえできれば、もう解決策はいらないくらい。ですから旦那様に動いてもらいたいという方は、自分の困ったことばかりを主張するのではなく、旦那様が仕事ではこんなことが大変なんだとか、すごく疲れているとか、実は奥さんにほうっておかれて寂しいとか、まずは旦那様のことをわかってあげて、そう理解したことを口に出して表現することから始めてはいかがでしょうか。そうすればきっと奥様の大変なことや気持ちにも自然と理解を示そうとしてくれると思います。

それから、核家族においては父親の育児参加は必須だと思っています。子供というのは、自分から見える誰かと誰かの対人関係のなかで物事を理解していくそうです。つまり、ママと自分の1対1の関係だけではなにも見えない、何も学べないということです。昔だったら子供のまわりにはいろいろな人がいて、対人関係の線がたくさんあったのですが…。核家族化が進んでいる今、ママの家事育児労働分担という問題ではなくて、子供の心の成長という観点から、パパの家庭への参加は絶対に必要だと思います。

大変なときほど笑顔で

なるほど。名倉さんご自身、仕事と母親業の両立でとてもお忙しい毎日だと思いますが、オフの日はどんなふうにお過ごしですか?

ママ友達と遊んでいますね。一緒に食事したり、食事させてもらったり…忙しいときはよく声をかけていただいています。ママ友達といっても、母親というより女同士として話していますね。進路相談なども話しますが、夜にお酒を飲みながら働くママ友と話すときは、人間として、女としての話をしています。みんなすごく個性豊かで素敵なママたちなのです。仕事の話でもおしゃれの話でも、お互い刺激しあっています。女同士がいい関係でいると、女の人はきれいになりますね。そうするとパパとの関係も良くなるみたい。

時間をつくるコツ~夢は歌手デビュー!

たまにはひとりになりたいと思うときはありますか?

意識的にひとりの時間を作ろうというより、自分のための時間を確保するようにしています。時間を作るコツは、先に予定をいれてしまうこと。ヒマができたらやろうというのではなかなかできませんから。

私には人生の中期と長期の目標があります。長期の目標は、自分が死ぬときのイメージとして明確に持っています。暖かい陽だまりの畳の上で、たくさんの孫たちに惜しまれて逝きたい。そのイメージさえ明確であれば、人生迷ったときの判断がぶれません。中期の目標は、43歳で場末のクラブにジャズ歌手としてデビューすることです。今年40歳を迎えて、20年前に自分ができなかったことを今もう一度目標にしようと思って。いまはボディメンテナンスをしたり、ボイストレーニングをしたり…この夢を実現するために地道に訓練中です。

仕事をバリバリこなし、なおかつおしゃれで本当に素敵なのですが、輝く自分でいるために気をつけていることはありますか?

びっくりするくらいポジティヴでいることですね(笑)。自分の悪口が耳に入ってきても、悪口と受け取る能力が欠落しているようです(笑)。かなり苦労してきたので、そうでなければ生きていられないくらい辛い時期があったのだと思います。それも記憶喪失ですが。あとは物事のよい面を見るようにすること。極端に言えば、自分を悪く言う相手でも思いやるということですね。この人もきっといろいろ大変なんだろうな、と。

あと、私は辛いときほど笑っていますね。だから、最近、なんとなくうまく物事が運んでいるので、逆に笑顔が少ないんですよ(笑)。ちょっと危険信号なので気をつけています。

それは面白いですね。では、毎日いっしょうけんめいがんばっているママたちに励ましのメッセージをお願いします。

いまがすごく大変でも、終わりは必ず来ます。ですから、今しかない瞬間を大事にしないともったいないです。嫌なことがいつかは終わるというのではなく、前向きにとらえると発想が変わるかなと思います。そして無理だと思ったら人の手を借りること。子育ては複数の人が関わるのが本来のあり方です。もともと子供を一人のママだけで育てるというのは生物学的に無理なのではないでしょうか。うまくいかないからといって自分で自分を追いつめたり、母親失格だなどと絶対に思わないことですね。生んだだけでも素晴らしいんですから。

最後に、10年後の自分はどんなふうになっていたいですか。

出産、育児に関して悩んでいる女性はたくさんいると思います。そういう人たちの悩みを解決したい。すべての女性が、好きな人の子供を安心して生めて心身ともに健やかに子育てできる環境をつくるのに寄与できるような仕事だったら、どんなに大変でもやります。10年後にはそういう仕事の足がかりができているといいですね。

そして、アフターファイブは歌を歌っていると思います。ステージのあと、その店のバーカウンターでお酒を飲んでいる私を、パパにオープンカーで迎えに来てほしいですね。本人は「ありえない」って言ってますけど(笑)。

ジャズ歌手デビューが夢という意表をつく答えが返ってきたりなど、面白いトークを披露してくださった名倉さん。華やかなオーラをふりまきつつとても気さくでオープンなところが素敵な方でした。

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